カードが織りなす宇宙的恐怖の物語『Cultist Simulator』

カードが織りなす宇宙的恐怖の物語『Cultist Simulator』

インディーゲームを追いかけていると、しばしば大手メーカーでは実現しなかったであろうアイディアやコンセプトに遭遇する。本作もまた、インディー以外では成しえなかった一作だろう。

Cultist Simulator』は、ラヴクラフト作品にインスパイアされた、物語主導のローグライクカードゲームだ。リリース日は2018年6月1日で、価格は2,050円となっている。『Fallen London』や『SUNLESS SEA』の生みの親であるAlexis Kennedy氏が手掛ける作品である。

知恵の実がもたらすもの

映画や小説、はたまたゲームに登場するカルト教団といったら、どのような存在を思い浮かべるだろう。罪なき人々を儀式の生贄として捕まえる?”崇高な”使命を妨害する主人公を執拗に狙う?まさにそのような立ち回りを可能とするのが、カルト教団運営を主とした本作だ。

時は1920年代。ラジオやレコードが普及し、世界恐慌が発生。ファシズムが台頭した時代である。本作では、そんな狂騒の時代を生きる平凡な人物が、ふとしたことから禁断の知識に魅了され、やがてカルト教団の教祖として狂信者たちを率いていく様を描く。

カードは語る

本作を特徴的なものとしているのは、”カード”と”タイル”だけで重厚な物語を紡ぎだすそのシステムだろう。ゲームの進行に応じて登場する”タイル”には、”過ぎゆく時”や”学ぶ”といった名前が付けられており、それぞれに”カード”をセットすることで物語は進んでいく。

たとえば砂時計が描かれた”過ぎゆく時”は、一定時間ごとに”資産”カードを吸い上げる。これは教祖の日常生活にかかるお金を表す。教祖と言えど人の子なので、仙人のごとく霞をたべて生きるとは行かない訳だ。もちろん資産が尽きればゲームオーバーである。他にも死に至る要因は色々あり、ローグライク故に死亡すれば最初からやり直しとなる。

深淵を覗く時

知識の断片が記された書物を読み漁り、夢を通して辿り着く不思議な世界MANSUSを旅する。信者を遺跡へと送り込んで、儀式に必要となる古代の遺物を得る。時には、教団を危機へと追いやるハンターを暗殺、あるいは捕らえながら、知識の探求は続く。禁断の知識に手を染めていけば、やがてこの世ならざる者を召喚してハンターへと差し向けることさえもできるだろう。

見た目こそシンプルながら、魅力あふれるテキストや置かれた状況が想像力を刺激する本作。信者さえも犠牲として知識を追求する時、いつしか暗い悦びにひたっている自分を発見するかもしれない。果たして禁断の知識をマスターしたその先に待つものとはなにか。そしてカルト教団はいかなる結末を迎えるのか。それは、ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。

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