古典的RPGの極致『Avernum: Escape From the Pit』

古典的RPGの極致『Avernum: Escape From the Pit』

ウルティマといえばCRPGの古典のひとつだ。惜しくもアバタールの物語は幕を閉じてしまったが、想像してみて欲しい。もしも6~7の頃のウルティマが現代風にアレンジされて、大幅拡張が施されたならば……。これはそんな夢がかなう、古めかしくも新しい一作だ。

Avernum: Escape From the Pit』は、アイソメトリックビュー(斜め見下ろし型)のRPGだ。リリース日は2012年4月12日で、価格は980円となっている。広大なオープンワールドと、膨大な数のクエストが特徴だ。

追放されし者たち

プレイヤーの分身となるのは、とある帝国で罪を犯して捕らえられた一団だ。もちろん殺人や暴行といった重罪を犯したわけではない。しかし帝国の鉄の掟は、たとえ軽微な罪であっても容赦しないのである。捕らえられた者たちは、Avernumと呼ばれる地下世界へと送られる。そこは遥か地下に広がる大空洞で、空気すらない死の世界とも、帝国の掟に縛られぬ楽園とも言われている。

むろん、風説通りの死の世界ならば、冒険を始めた瞬間にデッドエンドという、ある意味伝説のゲームとなっただろう。残念ながらそんなゲームではないが、さりとて楽園でもない。そこでは、追放され、そしてモンスターや野盗の脅威を生き延びた者たちが国を築いていた。そんな世界を旅することになるのがプレイヤー率いる一団というわけだ。

壮大な旅路へ

冒険を始めるにあたって、まずは最大4人の冒険者を作成することになる。望むならば、過酷な一人旅に挑むことも可能だ。あくまで最大4人というだけなのである。なお、冒険中に仲間が増えることはないので、その点は覚悟が必要だ。また、本作にはクラスという概念も存在するが、実際にはスキルと能力値が全てだ。そのため、クラスは蛮族だが、近接攻撃と回復魔法のスキルを取ってパラディンを気取るなんてこともできる。

冒険者を作成したら、地下世界の探索へと乗り出そう。本作は先述のとおり、オープンワールドとなっている。異色な点は、メインクエストが存在しないことだろう。つまりは、好奇心のおもむくままに広大な世界を旅し、自由気ままに膨大なクエストへ首を突っ込みながら、冒険を進めていくことになる。クエストとは無関係なダンジョンなども多数存在し、十分に探索を楽しめるはずだ。そうこうしていくうちに、やがて地下世界を取り巻く情勢が徐々に判明していく。その時はじめて、終わりに至る複数の道筋が見えてくるだろう。もちろん、これはあなたの物語である。そのため、幕引きの仕方も自分の意思で決めれば良いというわけだ。

その果てに待つものとは

戦闘についても触れておこう。本作は古式ゆかしいターン制バトルを採用している。いわゆるタクティカルコンバットというやつで、敵と味方で交互に移動や攻撃といった行動を行い、相手の殲滅をめざすわけだ。バランスは絶妙で、雑魚戦ならおおむね余裕をもって終えられるが、ボスのような強敵はおそろしく歯ごたえがあるし、そもそも格上の敵がひしめくダンジョンへと迷い込めば命の保証はないといった具合である。ちなみに、海外のゲームらしく、罪なき一般人を襲うことも可能だ。

特筆すべきはそのボリュームだろう。筆者など、70時間以上プレイしても未だにエンディングを迎えられていない。極めてコスパが高いのである。ネックとなるのは日本語非対応という点だが、本作は全体として長めのテキストが多いかわりに、それぞれの文章は短文で区切られており、かつ難しい単語があまり使われていない。なので、英語の勉強にも最適かもしれない。見た目こそ地味だが、壮大な冒険を秘めた本作。ウルティマなどの古典RPGをなつかしみながらプレイされてみてはいかがだろうか。

 

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