音楽と暴力をテーマにした『Thumper』には”電子ドラッグ”という最大の賛美を

音楽と暴力をテーマにした『Thumper』には”電子ドラッグ”という最大の賛美を


“電子ドラッグ”という言葉を聞いたことがあるだろうか?強い中毒性のある音楽や映像を指す言葉だ。これは時にゲームにも使用され、戦略ゲームの金字塔である『Civilization』シリーズも異常な中毒性からそう呼ばれている。そしてまた、今回紹介する『Thumper』も電子ドラッグを冠するに十分なタイトルだ。

『Thumper』は音楽と暴力をミックスさせた新しいコンセプト“リズムバイオレンスアクション”を掲げる音楽ゲーム。開発はDrool、リリース日は2016年10月11日で価格は1,999円だ。日本語とゲームパッドに公式対応している。また、2016年10月13日にはPS4にてVR対応タイトルとしてリリースされ、PC版でも2016年12月20日にVR対応アップデートが行われた。

Thumperが作り上げた世界

ルールと操作は単純明快

プレイヤーはメタリックな昆虫“スペースビートル”となって、障害物が流れてくるコースをゴールまで走り抜けるのが目的。操作は非常にシンプルで、スペースキーと十字キーの組み合わせのみで行われる。例えば、ブロックはスペースキーでジャンプして破壊、カーブを曲がりたいときはスペースキーと曲がる向きのキーを入力する、といった具合だ。

▲プレイするにつれて明らかになっていく細かいThumperテクニックがあったりもする

障害物の回避に失敗するとスペースビートルの殻が割れてしまい、この状態で更にミスするとゲームオーバーとなり、エリアの最初からリトライになる。リトライまでは短時間でストレスを感じないし、コースの構造は固定されているので、努力すれば必ずステージをクリアできる仕組みになっている。

1つステージは30個前後のエリアで作られていて、全9ステージが用意されている。各ステージにはBossとFinal Bossが待ち受けており、激しいコースに流れて来るブロックを連続で破壊して攻撃する。このFinal Bossのデザインがかなり独特で、人によっては恐怖を感じかねない異形なものだが、これもアート面で1つの魅力となっている。

▲VRで見たいような見たくないようなFinal Boss

止めどなく俺を感じ続けろ

実際にプレイしてみると耳だけで楽しむタイトルではないことがすぐわかる。音に合わせて砕け散る破片や、曲に合わせて様変わりしていくコースは強く目に訴えかけてくる。もちろん、途切れのない操作は肉体にもリズムを感じさせる。その荒々しく激しい体験を通して、『Thumper』が掲げた”リズムバイオレンス”を理解できたように思う。

また、“ゲームの流れを止めないこと”を非常に意識してデザインされている。失敗からリトライまでの時間を最小限にする、エリアをクリアするごとに休憩/間を作らない。そのようなプレイのテンポを失わないゲームデザインによって、1ステージを“大きな体験”として味わえる。アクションゲームにとって、この「テンポを失わないこと」は当然だと思う人も居るかもしれないが、それに失敗しているタイトルも少なくない。

「高いスコアを稼ぐには?」

ただ、スコアシステムに関しては多少の不満がある。と言うのも、コース内で追加ポイントを獲得できる条件がいくつか用意されており、エリア終了時のスコア評価に表示されるのだが、その条件の説明が明確ではない。例えば、エリア終了後に「パーフェクトターン×8 ***点」と表示されても、それをどうやって達成したのかわからない。ただ、名前からして「多分上手くコーナーを回ったってことかな…」と推測するしかない。

意見が別れる部分ではあるが、オンラインに対応したハイスコアランキングを十分に楽しむためにも、スコアシステムはある程度プレイヤーへ説明されてるほうがよいと思う。例えば、メニュー画面に各種スコアボーナスの条件などを簡単に解説したページを作ってもらえるとハッピーである。

▲得点となる青いダイヤも具体的にどう手に入るのか説明はない

ゾーン体験はゲームにだってある

『Thumper』の暴力はステージ4あたりから激しさを増していく。その圧倒的暴力にさらされ続けることによって“ゾーン入り”を果たすことがある、プロスポーツ選手が極限の集中状態に入るアレだ。そう、ゲームも長時間プレイし続けていると、ある瞬間からすさまじく視界がクリアになり、操作がキレキレに冴え渡るときがあるのだ。おそらくマジで何かしらの脳内物質が出ていて、おそらくマジでドラッグ的効果を生み出しているように思う瞬間。それがゲームでも本当に起こる。

『Thumper』はそれを体験させる可能性を十分に含んでいるので、体調に支障がない限りで是非ゾーン体験をしてもらいたい。
最後に、あらためて“電子ドラッグ”という個人的最大級の賛美をこのタイトルに捧げる。

【Indie Spot】011: Thumper を実況&紹介プレイ【音と暴力のハーモニー】

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